●プロレス(G)萌え
●名作プロレス小説のアーカイブ
●作者不詳の作品も保管します。
●イケテル画像の保存活動(笑)
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狭いシャワー室の中は屋根を焼く夏の太陽のせいで熱気で満ちていた。
朋樹は小窓を開け、中の空気を逃がし外気を入れた。
緑と土の匂いが涼しい風と一緒に入ってくる。
朋樹はタイツを脱ぎ、真水のシャワーの中に身体を晒した。
スパーリングで火照った身体を冷ましながら、朋樹は健の事を考えていた。
試合ならまだしも、さっきのは練習だ。
しかも後輩の健を相手にあんなに無気になってしまった自分が信じられなかった。
「俺って・・・・・」
朋樹は備え付けの小さな鏡に映った自分の顔を見つめたまま、シャワーの雨の中で長い間呆然としていた。
「先輩入ってます?」
ノックの音と共に、シャワー室の外から健が呼びかける。
だが水の音で紛れた声は深い意識の底にいる朋樹の耳には入らない。
「先輩?」
健がそうっとドアを開けて呼びかける。
朋樹の意識は一瞬で引き戻され、ようやく健に気付く。
「け・・健!大丈夫だったか!?」
水に濡れた裸のまま、素早く健に歩み寄り両肩に手を乗せ健の身体を揺さぶった。
「だ、大丈夫ですよ!先輩。毎日トレーニングしてれば、あれくらいどってコトないっす」
健は無邪気に笑いながら、右腕にレモンのような力瘤を作った。
「流石にさっきのフルネルソンは効きましたけどね」
「すまん。俺、つい・・」
「いいんですよ。正直言って俺、先輩が本気になってくれてすごく嬉しかったで す。
俺を一人のレスラーとして認めてくれたような気がして。
本当はキャメルクラッチでギブさせられる寸前だったんですけど
先輩と少しでも長く戦いたいと思って
俺、必死で耐えたんです」
「あれには俺も驚いたぜ。あそこまで極められたら、俺なら絶対ギブしてるな」
朋樹は健の腰をさすり、笑いながら言った。
「お前は磨けば俺より光る。さっきのスパーリングで確信したぜ」
「やっぱ、先輩は強いや。俺と同じ軽量級気スラーなのにパワーもある。
俺が一生懸命技を掛けても、ちっとも通用しないんだもん」
軽く握った拳で朋樹の大胸筋や腹筋を小突きながら健は言った。
「俺、もうあがるけどお前はどうする?」
「シャワー浴びてから、ゼミに出ます」
「そっか、じゃあ俺は先に帰るけど戸締まりだけよろしくな」
「はい、先輩。今日は有り難うございました」
「や、俺のほうこそ・・・大きな経験になったよ」
「俺、いつか試合で先輩と当たりたいです」
「ああ、そうだな。俺もその時を楽しみにしてるよ」
朋樹はボストンバックからタオルを取り出すと、髪の毛を拭いた。
「しまった!俺、タオル持ってなかったんだ!」
「俺も1つしかないなぁ・・。これで良かったら使うか?」
軽く全身をタオルで拭うと、朋樹は健の胸元にタオルを差し出した。
「わぁ、どうも有り難うございます!」
「じゃあ、またな」
朋樹は身支度を整えると、サークル室を後にした。
心地よい初夏の風を胸一 杯吸い込むと、まだ火照りの残っていた心にもようやく落ち着きが戻ったような気がした。
〜おわり〜
*プロレス小説のツボがぎっしり詰まった名作です。
初めて読んだときのコーフンが今もあります。
サイコーにさわやかだなぁ。
朋樹は小窓を開け、中の空気を逃がし外気を入れた。
緑と土の匂いが涼しい風と一緒に入ってくる。
朋樹はタイツを脱ぎ、真水のシャワーの中に身体を晒した。
スパーリングで火照った身体を冷ましながら、朋樹は健の事を考えていた。
試合ならまだしも、さっきのは練習だ。
しかも後輩の健を相手にあんなに無気になってしまった自分が信じられなかった。
「俺って・・・・・」
朋樹は備え付けの小さな鏡に映った自分の顔を見つめたまま、シャワーの雨の中で長い間呆然としていた。
「先輩入ってます?」
ノックの音と共に、シャワー室の外から健が呼びかける。
だが水の音で紛れた声は深い意識の底にいる朋樹の耳には入らない。
「先輩?」
健がそうっとドアを開けて呼びかける。
朋樹の意識は一瞬で引き戻され、ようやく健に気付く。
「け・・健!大丈夫だったか!?」
水に濡れた裸のまま、素早く健に歩み寄り両肩に手を乗せ健の身体を揺さぶった。
「だ、大丈夫ですよ!先輩。毎日トレーニングしてれば、あれくらいどってコトないっす」
健は無邪気に笑いながら、右腕にレモンのような力瘤を作った。
「流石にさっきのフルネルソンは効きましたけどね」
「すまん。俺、つい・・」
「いいんですよ。正直言って俺、先輩が本気になってくれてすごく嬉しかったで す。
俺を一人のレスラーとして認めてくれたような気がして。
本当はキャメルクラッチでギブさせられる寸前だったんですけど
先輩と少しでも長く戦いたいと思って
俺、必死で耐えたんです」
「あれには俺も驚いたぜ。あそこまで極められたら、俺なら絶対ギブしてるな」
朋樹は健の腰をさすり、笑いながら言った。
「お前は磨けば俺より光る。さっきのスパーリングで確信したぜ」
「やっぱ、先輩は強いや。俺と同じ軽量級気スラーなのにパワーもある。
俺が一生懸命技を掛けても、ちっとも通用しないんだもん」
軽く握った拳で朋樹の大胸筋や腹筋を小突きながら健は言った。
「俺、もうあがるけどお前はどうする?」
「シャワー浴びてから、ゼミに出ます」
「そっか、じゃあ俺は先に帰るけど戸締まりだけよろしくな」
「はい、先輩。今日は有り難うございました」
「や、俺のほうこそ・・・大きな経験になったよ」
「俺、いつか試合で先輩と当たりたいです」
「ああ、そうだな。俺もその時を楽しみにしてるよ」
朋樹はボストンバックからタオルを取り出すと、髪の毛を拭いた。
「しまった!俺、タオル持ってなかったんだ!」
「俺も1つしかないなぁ・・。これで良かったら使うか?」
軽く全身をタオルで拭うと、朋樹は健の胸元にタオルを差し出した。
「わぁ、どうも有り難うございます!」
「じゃあ、またな」
朋樹は身支度を整えると、サークル室を後にした。
心地よい初夏の風を胸一 杯吸い込むと、まだ火照りの残っていた心にもようやく落ち着きが戻ったような気がした。
〜おわり〜
*プロレス小説のツボがぎっしり詰まった名作です。
初めて読んだときのコーフンが今もあります。
サイコーにさわやかだなぁ。
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