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●プロレス(G)萌え ●名作プロレス小説のアーカイブ ●作者不詳の作品も保管します。 ●イケテル画像の保存活動(笑)
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 ヤルゼー!!1年!!

雅也が道場にやって来た。

今日は赤いな。

翔が雅也の髪の毛をクシャクシャっとなぜた。ヘヘッと雅也は笑った。

試験終わったからよ、プロレスしようーぜぇい!

雅也はイソイソと上半身ハダカになると、道場を見回した。軽くストレッチをしていると、一歩前へ出る勇太。

勇太かよ。ヤッちゃうぜ?

雅也はヘッと笑っていたが、勇太は真顔だった。

今日は勝ちます!

いつになく真剣な勇太だった。


雅也は青いテロテロサッカーパンツ。勇太は黒スパッツだった。

雅也の大腿部は迫力満点。毎日の走り込みは伊達ではない。

二人はすでに先輩後輩という感じではなかった。少なくとも、勇太には遠慮が感じられなかった。


勇太がジャンプ。
闘いは勇太の放つドロップキックから始まった。
マットに平行に飛んだ勇太のケリを軽くいなす雅也。

マットに落ちる勇太にすぐさま雅也の左脚が振りおろされた。

ガッッフッッ!!

雅也のギロチンドロップだ。素早い動きで勇太の左腕を掴むと雅也の両脚が挟み込む。腕ひしぎ!

勇太はしのぐ。
極められたら終わりだ。そんな闘いだった。

雅也はイッパツ勇太の左脚にケリを入れた。

オラオラ立て立て!!

勇太が立ち上がった瞬間に発射。
雅也のドロップキックが勇太の胸板を直撃。
転がる勇太を無理矢理立たせるとDDT。
勇太はボスっとマットに突き刺さる。

雅也は勇太に被さる。カウント。

まだまだっスよぉ!!

雅也は楽しそうにヘッと笑った。
勇太の右腕を取って立ち上がらせるとフラつく勇太へ雅也の右腕ラリアットが襲った。もんどりうって転がる勇太。

雅也が転がる勇太の左脚を掴み上げる。
ニッと笑うのが勇太には見えた。
流れる動きで勇太の左脚が雅也の右スネに巻き込まれていく。勇太はカラダをくねらせて逃げようともがいたが、雅也の脚の力は想像以上だった。

自分の左脚のふくらはぎが自分の右スネに重なるのが見えた。ニッと笑う雅也の口元が見えた。

ヤッパこれっキャねーか?

雅也が勢い込んでマットに倒れた。
瞬間、勇太の左足の甲に雅也の左脚ふくらはぎがはまった。ガチリと音がしたようだった。

ッッッウツツツツッゥッツ!!!

ギブ?ギブ?ギブ????ッッ??

ノォォーゥゥウウォオオノノ!!!!!

雅也はマットに両手を付けて4の字固めを安定させた。
痛みにこらえる勇太。
雅也の脚のチカラ加減で勇太の顔が歪み、そして叫び声が出た。

雅也がマットに受け身を取る。
ビクンと勇太のカラダ全体が痛みに反応した。

勇太!!ギブかッッ!!

ノノノッッゥウォオノゥ!!

雅也のハダシの足がマットにねじりの跡を付けていた。

うあぁあらぁああ!!!

勇太は雅也の4の字のままひっくり返すことに成功。

勇太はそのままロープ。

雅也は4の字を解く。

いち早く立った雅也のボディにフイをついて勇太の右膝が入った。
前屈みになった雅也をDDT。

勇太は雅也の左腕を掴むと両脚で雅也の首諸共に挟み込んだ。マットに倒れ込む勇太。
三角絞めだ。

勇太の股の中で雅也の赤毛が乱れていた。

センパイ!!ギブッすか??

ノウノウ!

短く応えた。

雅也は下半身の反動を付けてひっくり返した。
執拗に勇太は絞めようとするが、どうにも力が入らなかった。さっきの強烈な4の字固めのせいだった。

雅也は腕の力で勇太の絞めを外していく。

息の荒い勇太の背後から雅也の両脚が挟み込まれた。

勇太が掛けた三角絞めそのままに雅也の脚がロックしていく。

勇太の左腕は雅也の両腕に捕らえられ、左脇と首が雅也の両脚で固められていた。

ガッガッッフォッフッッ!!!

オラッッ!!勇太!!ギブッッ??!!!

ッッノッノッツノオッ!!

勇太には道場のハロゲンランプの光りしか感じられなかった。
両耳が雅也の太股に塞がれて、まるでプールの中でのような感覚に襲われた。

勇太の下半身はバタバタと動くが、雅也は冷静にバランスを取っていた。

ギィィブウゥ??

ガッハァァッッツ!!ノノノッッ!!

そうらっ!!

雅也が腰を突き上げた。
急激に絞めが強まった。

ハグッゥゥウッハァッッ!!

どうだ!ギブするかっ?ァァアアァ??

ノウッノッッゥウ!!!

ギブしねーならオトスかんなっ!
ァァアアアアア????!!!

左腕が伸びきる。
首がまるで万力に絞められるように圧迫された。

オオウラァアアアアアアア!!!!!ッッッ!!!!

ハッハッハァアアァァア!!

ウォラッ!オウアラァッ!!ウリャッァァッッ!!

カハァッ!ハァッ!ハッ!

雅也の太股に筋肉のスジが走る。

ラァァツッッァアアアアア!!!!!!!

カッッハァッ!!

勇太はハロゲンランプの光りが消えるように感じた。




道場ではおのおのがプロレスをしていた。
勇太は道場の隅で目を覚ました。
そばに雅也がいた。

ギブしなかったな。

雅也は言った。

ウッス。

勇太は遠くを見ながら言った。

雅也は背後にまわりスリーパーを軽く掛けた。

オレの勝ちだな?

オレの負けっす。

勇太は応えた。

3日間続いた試験期間も終了した。採点優先のため今日も部活は休みだった。


今日はヒマか?

帰り道、淳に勇太が声をかけた。

英語はどーだったよ?

オレに勉強のことは聞くなって!

勇太は笑った。

孝司ンとこも今日で試験が終わりなんだってよ
オレんちに来るんだけど、こねーか?



部屋にあがるとすでに孝司がいた。孝司はドコかで見たような感じで、勇太の敷きっぱなしのフトンの上にドカリとアグラをかいて、プロレスビデオを見ていた。

カイエンタイってイイヨナ。

孝司はニッ!と笑った。


仁太郎先輩は元気か?

勇太が聞いた。

オウ、オウ。元気ゲンキ。

プロレスしてんのか?

淳が聞いた。

ヤッテルよお。週1ペースでガンガン!
もうオメーラの相手なんかしてらんねぇ!

孝司はテレビから目を離さず言い放った。

オーシ!相手してやんぞ?

淳の言葉に振り返った孝司はニカッと笑った。


淳も均整のとれたイイガタイになってきていたが、やはり孝司のソレとは比較にならなかった。


出方をうかがう淳。孝司がタックルをかます。

倒れた淳の左脚にアキレス腱固めが極まる。

ッシャッ!どうだ!

まだまだ二人の表情には余裕があった。

淳は反転してロープに逃れようとした。孝司はその動きを利用しそのまま片逆エビに固める。

ッッアアガぁ!!グッッッツ!!

ギブッッ??

孝司はアキレス腱を極めるカタチを保ちつつ、右手は淳の膝を支えて体勢を固めていく。ギブしてもおかしくないカタチだった。

ッッああっ!!ロープッッ!!ロープッッ!!

勇太が孝司を止める。孝司は直ぐに技をといた。

孝司は余裕の表情。淳の顔は少し曇った。技の重みが増したように感じられたのだ。

ウッシャア!!

淳は自分に気合いを入れると、低空のドロップキックを放った。孝司の膝を狙った。巨体が崩れる。

淳はすかさず孝司の右脚を自分の左スネに巻き込む。

ックッッツツ!!

淳の右脚が孝司の右足首をフック。淳の足4の字が孝司の余裕の表情を吹っ飛ばした。

ヌウウがあ!!ガアアッツ!!!!

ッッラァぁっっ!!ギブかっ???

淳は孝司の左脚の引っこ抜くように二度三度と上体を仰け反らせた。

アアッッうう!!ノー!ノウ!ノウ!!!

孝司はカラダを揺さぶらせ一気にロープを目指した。二人に余裕の表情が消えた。

オウオウ、アツクなってきたなぁ。

勇太は楽しくて仕方がないようだった。


チカラ比べ。力は孝司が上回った。密着を切ってバックをとる。背後から長い左脚が淳の左脚を絡めとる。流れるように長い左腕が淳の右脇をむしりとるように回った。

ッッアアアアー!!ッゴォッッツツツ!!

コブラでキメテやるぜっ!!!

ガチッと極まったコブラツイスト!

ひとまわりもふたまわりも孝司のガタイが大きくなる。
長い右腕が淳の鼻先でクラッチ!!

フッガァァーー!!ガァアッッツツ!!!

オレのコブラは仁太郎先輩もほめてくれたんだぜ!!

淳を押しつぶすように絡み付くなコブラツイスト。

ッラァぁ!!ギブか?ギブしろよ!!!

ノッ!!ノウッ!!!

ッッラアア!!ンッッナロッ!!!

孝司は揺さぶる。

ッッアアアアっっ!!ノウ!!ノーウウッ!!

完璧じゃねぇ??!!

孝司は急激に引き絞る。

ガァアアッツツ!!

ギブだな!!ギブ??

孝司はクラッチした手を離して、淳の右脇腹に拳を入れた。それが余計な攻撃だった。淳は力を振り絞り、孝司を腰で投げ飛ばした。

前のめりに崩れる孝司。
淳は孝司の左脚を両股で挟み込む。左足の甲を自分の股間に固定すると、背後から孝司の顔面を絞りにいった。

ッッグッハァ!!ガッハッッフウウ!!!!

STFだ。

ハッ!ハッ!ハッ!ギ、ギ、ギブかッ??

息の切れている淳。

フッがああぁぁ!!ノ、ノ、ノゥッ!!

技を極めたまま淳は呼吸を整えた。勝負に出る。淳は孝司の顔面を固める両腕を離した。一息つく孝司。

淳の右腕が孝司の右腕を絡めとる。
淳の左脇が孝司の顔面を固める。

ッッガアア!!!ガガガアァアアァアア!!!!

ンンンッツッツツツ!!!!!

孝司の背中で淳の両手が完全にクラッチ。

ッッッウウウウアアッツ!!!

脚を固められたままのドラゴンスリーパーだ。

ッラァァアアア!!!ギブッ??!!

ハフッっ!!ガフッッ!!ッノッッツツッ!!!

自由な孝司の右脚がバタつく。自由な孝司の左手が淳の左腕を掴む。

淳は左腕で固めた孝司の顔面をカラダ全身で絞り上げる。

ッッッグクフッッフッウ!!!

ギィブゥッゥウウ???

ッフッヌゥウノッノノ!!!

孝司の首筋から汗がしたたる。二人の汗だ。
ギリイギリイと音が聞こえそうだ。

フヒィヒィイ

孝司の息遣いが聞こえた。

ウッシャァッッアアアアア!!!!!!

淳は一気に絞り上げる。
反り上げる反り上げる!!!

ギィブアッッップウゥウッッ???

反る反る反る!!!

ッッブアッッップッッツツ????!!!!

反る反る反る反る反る反るッッゥ!!!!!!


パンパンパンと孝司の左手が淳の左腕をたたく。

ギブだな!まいったなっ!!!

パンパンパンと地面をたたく。

ギブアッップかあぁ??
あぁあああぁああ???!!!

ッッッブウウ!!!
ッギィイッブウアッアアァァアアア
ップウッツツ!!!



やっぱツエーわ。

孝司は言った。

オレのコブラどーだった?

イッテーよ。

孝司はニッと笑った。
秋の気配が一杯だった。

オレんちで勉強教えてくれよ!

勇太が淳を誘った。試験が近いのだ。

勇太んち行ったら遊んじまうだろ?
イヤだよ!


そんなこんなで淳は強引に勇太の家に行くことになってしまった。途中、竜二も合流した。

ますます遊んでしまうな、と淳は思った。


勇太の部屋は相変わらずオトコらしい部屋だった。かなりのチラカリようだ。乱雑に放り出されたプロレス雑誌。最近好きなのであろう格闘家のポスター。敷きっぱなしのフトン。勉強机には教科書が積み上がっていた。

ドコで晩強すんだよ?

淳はなんだか可笑しくなってしまった。

竜二は早速ビデオラックをのぞき込む。

昨日の新日のプロレスとってないのか?

あるある!ビデオに入ったままじゃねぇ?

竜二は慣れた感じで勇太のフトンに寝っ転がると黙ってプロレス観戦を始めた。

勇太は呆れた感じで竜二をながめつつも勉強机に勉強する場所を確保した。


淳は数学の教科書を開いた。
勇太は理解は早いのだが飽きるのも早かった。
そのうちに竜二のほうが気になりだした。

まるで見計らうかのようにテレビの中では棚橋のSTFががっちりと極まる場面。

勇太ぁ!STF掛けさせろやぁ!

竜二はフトンの上から勇太を呼んだ。

まったく竜二はしょーがねぇなぁ
勉強してるっていうのによ!

勇太は楽しそうに教科書を閉じた。


勇太がフトンの上に腹ばいになると、竜二は自分の右脚を勇太の左脚にからめてSTFの体勢に。

ウラッ!ギブか?

なんか違うんだよなぁ。

勇太は竜二に技を解かせると、竜二を腹ばいにさせて自分の右脚を絡めていった。

そんでっ!顔面を絞るんだよっ!

っっぐうぅぅぅーー!!
イテテテテ!!ギブギブ!!

はえーよ。プロレス技は痛みで覚えるんだよ!
オーゥラッ!!

があーーーー!!!ギブギブギブ!!!

勇太は竜二を解放した。

二人はすでにかなりの汗をかいていた。
勇太は腕で汗をぬぐいながらまた勉強机に戻ってきた。
黙っていられないのは竜二である。

竜二は勇太をフルネルソンに捕らえて、フトンへと連れ戻した。

プロレスしようぜい!!

淳はヤレヤレと見守ることにした。


二人とも汗でぬれたTシャツを脱ぐと、ジーンズだけになった。勝負をつけたいのは勇太よりも竜二のほうだった。

逞しく黒く焼けたカラダが勇太を襲った。
首投げで勇太をフトンに叩き付けると一気に逆エビを狙った。

ギブか!!

いいカタチの逆エビだった。ベッタリと安定した足腰が勇太の腰を大きくしならしていた。

っっっぐうっ!!!ノウっっ!!!

ヤベーんじゃねぇのかっっ?ギブかぁ?

っっぐぅぅぅ!!!アメーんだよ!!

勇太は身をよじらせるようにバランスを崩して脱出。
しかし、逆エビの効果は残り、次ぎの攻撃に遅れが出てしまった。

竜二はすかさず勇太に馬のりになると勇太のアゴを引き絞った。

どうだ!キャメルだぜっ!

くぅっ!!

ギブしろ!まいったか!!

竜二のキャメルではまだ勇太の腕が自由だった。
勇太は右腕で竜二のクラッチを切りにいく。

まだまだ勉強不足だな!!

抜け出した勇太は竜二に胸にケリを一発ブチ込んだ。
ひっくり返った竜二に逆エビ!!

ガァァァァァアア!!!!

どうだ!!これが逆エビの痛さだゼッ!!!

勇太は自ら逆エビを解くと今度はキャメルの体勢に!!

オーウラッ!!これがキャメルだっ!!!

勇太のキャメルクラッチは完璧だった。
竜二の両腕は完全に勇太のももの上で固定され逃げられない状態だった。

ガッ!ガッ!!!

勇太は二度三度と竜二のカラダを絞り上げた。

竜二ィ、まだ終わりじゃねーぞぉ!
覚悟しとけよぉ!!

勇太はキャメルを解くと竜二の右腕をつかんだ。
スルリと勇太は竜二の首と右腕を両方の脚で挟み込んだ。

竜二は勇太の部屋の天井を見上げるカタチになった。

今日は絞めるゼッ!!

勇太はガッチリと三角締で竜二を固めた。

オラァ!まいったかっ!!

グッヒィィィ!!ノウッーーーー!!

竜二にも意地があった。
簡単にはギブアップしたくなかった。

勇太は竜二の右腕を引き絞る。

クゥッッッ!!!

降参かっ?アァッ??!!

竜二は必死に左腕で勇太の脚をほどこうとするが、勇太の絞めは緩まなかった。

勇太は自分の左脚をさらに深く自分の右ふくらはぎの下へと押し当てる。絞めが一気に強まった。

竜二ィ!ギブするか?もう聞かねーからなっ!!!!

言葉通りに勇太は絞り上げた。

竜二の右腕は伸び上がった。
ばたつかせていた脚も緩やかになった。

ガァァッァッツッツァァァアアアア!!!!

ウオォォゥラァッァアアア!!!!

必死にもがいていた竜二の左手がパタッとフトンに落ちた。




どーよ!オレは強いだろ?

上半身ハダカのままの勇太は竜二を見送った。

勉強教えてくれてサンキューな!
また教えてくれよな!


淳と竜二は途中までいっしょにゆるゆる歩いた。
星で空がいっぱいだった。
演劇部の演目が始まり、ざわめきが落ち着いてゆく。

腰をさする淳がいた。勇太が笑う。格技室翔が入ってきた。

あ、ちょうどイイトコにいたっす!

孝司だった。

あ、チワッす!仁太郎先輩!!

勇太が二人を迎えた。

二人は学祭の見物に来たようだった。

プロレスは終わっちゃったんすねぇ。
残念す。

孝司は仁太郎を見た。仁太郎はうなずいた。

翔先輩が強いって言ったら、先輩が見たいってさ。
だから来たのにな。

相手、してくれませんか?

仁太郎は翔を見据えて言った。
翔の目の色が変わった。

オレも強そーだなってね、思った。


三人が見守るなかで、翔と仁太郎がマットに立った。
孝司は翔の強さは知っていたが、日々のスパーリングの仁太郎も知っていた。

勇太はすでに1度、仁太郎と身体を合わせたことがある。その強さは知っていた。オモシレー!!

孝司よりも大きなカラダをしている。翔だって鍛えているのだが、比べると断然、仁太郎がデカかった。

仁太郎が動いた。レスリング仕込みのタックルは鮮やかだった。翔は軽く飛ばされた。脚を攻めにいく仁太郎。スタンディングアキレス腱固めだ。

キョーレツだったゼッ!!

勇太が翔の替わりに応えた。翔は無言で耐えていた。

仁太郎は右腕で翔の左脚を極めたまま、自分の左脚で翔の残りの脚をふみつけてマタ裂きの状態に。そして流れるように膝十字へ移行。

ハッ!ハッ!ハァア!ハッ!

仁太郎の息遣いが道場に響く。シビアなプロレスだ。

極めあぐねた仁太郎は膝十字を崩し、マット中央でファイティングポーズ。

翔は素早く立ち上がるとドロップキック。仁太郎の胸板にクリーンヒット。不意をつかれたせいもあり、仁太郎はマットに沈んだ。

翔は鎖骨のすぐ下あたりに鋭いエルボーを2発、3発とたたきこんだ。大の字の仁太郎の左腕にニードロップ。すかさず腕ひしぎの体勢に。

仁太郎も逃げる。極められたら終わりだ!そんな感じだった。

仁太郎は脚を翔の首筋を絡めるように脱出。形勢逆転。
仁太郎の右脚が翔の左脚に絡んだかと思ったときにはグランド卍が完成間近だった。

ヤベーよ!くらったらっ!

勇太の興奮した声が響く。

仁太郎の左腕が翔の右腕のスジを伸ばした。完璧なグランド卍だ。

ハッ!ハッ!ハアァ!ハッ!

仁太郎はグイッ!グイッ!と締めていく。

孝司がマットに飛び込みレフリーをかってでた。

ギブっすか?翔先輩!!

翔は応えようとしない。仁太郎は無言で首を狩るように左脚で圧迫していく。
仁太郎の太いふくらはぎの筋肉が翔の首筋で山のように盛り上がる。

ギブっすか?!

孝司は翔のギブだと思った。仁太郎も勝ったと思った。仁太郎の卍からは逃れられないはずだ。

ノーーーーーーーー!!!

翔は動く左手で、自分の首に巻き付く仁太郎の脚をほどきにかかった。無理に思えた。

瞬間、仁太郎の叫び声を上げた。ちょうど、アキレス腱固めのような感じで抜けられたのだ。仁太郎の勝ち焦りだった。

今度は翔がマット中央でファイティングポーズ。挑発的だった。不用意に立ち上がった仁太郎に翔はブレーンバスターを挑む。持ち上がるようには見えなかったが、翔は見事に抱え上げると、強烈に垂直にマットに落とした。

翔は仁太郎の両足を抱え込んで、おもいっきりボストンクラブ。ガッチリ入った。

仁太郎!ギブするかぁ?

翔は腰を深く落とした。

ガッッッツツッッ!!!!

仁太郎もロープを目指す。返すことは出来ない。ロープを目指す。

ロープ!!ロープっす!!

孝司は翔の背中を叩く。
翔は逆エビを解放。仁太郎は動かない。
翔はすかさず仁太郎の両足を持ち、マット中央へ引きずり込む。

仁太郎の体勢を反転。翔の左脚が仁太郎の右腕を捕らえた。翔の左足膝裏が仁太郎の後頭部を捕らえた。

ガハッ!!

短く仁太郎の息が漏れた。
翔の両手が仁太郎の左腕を固めた。

うわぁっ!!ストラングルホールド!!!

勇太は叫んだ。

仁太郎!!ギブかああ!!あぁ!!

仁太郎は両足をバタつかせるが、その動きには元気がなかった。

先輩!!ギブっすか?

ノウ!ノウ!ノウ!!!!

翔は更に左腕を絞り上げる。
同時に翔は重心をじょじょに落としていく。仁太郎は首がメリ込むような激痛に耐えていた。

ウオラアァア!!仁太郎!!ギブだなぁ?!
ギブだなぁ?ああぁぁ??!!

グゴッホッ!!!

翔先輩!!ギブです!ギブです!!

孝司が翔を止める。

翔は瞬間、技を緩めたのだが、仁太郎の無言状態をみて、更に絞り上げた。翔は更に腰を落としていく。仁太郎の顔は、自分の盛り上がった胸筋につくぐらいの勢いだった。

グウゥッツハッアァッツッッ!!!!

仁太郎!参ったのかあ?ギブするのかあっ!!!
あああああぁぁぁぁ!!!!?????

仁太郎の右手が、翔の脚で絡めとられた右手が、力なくマットを叩いた。

ギブっす!ギブっす!!!
センパイッ!!ギブアップですっっっ!!!

孝司は翔の背中を夢中でたたいた。
翔は技を解いた。
仁太郎は仰向けに倒れた。翔はそのまま座りこんだ。
二人とも汗だらけだった。

ハァ、ハァ、ハアァア、ハア。

二人の呼吸が不思議と同じだった。

サイコーっすよ。翔先輩。

仁太郎は天井を見上げて言った。

ギブアップっすよ。翔先輩。

翔は仁太郎の腕をとって立ち上がらせた。

参ったっす。翔先輩。

翔は仁太郎の首筋を揉みほぐした。


スッゲー!!スッゲーよ!!!

勇太は一人叫んでいた。
淳はやっぱり兄貴はツーエーや、と思った。
コーナーポストに見立てた跳び箱から淳めがけてミサイルキックを放ったのは体操部の由貴だ。2年生の由貴は柔道部のプロレスにはあまり顔は出さない。

まともにくらった淳は後頭部を痛打した。
舞台を見つめる観客の生徒たちは大きく盛り上がった。
深くクッションが敷き詰められたマットに大の字になる淳を見て、由貴はすかさずポストに立つ。

観客は由貴に注目した。
背面から淳に向かって飛び込む由貴。
バッチリと淳をボディプレスに沈めた由貴は高く両腕を上げ、声援に応えて退場。
淳は今だ、たてないでいた。


 オウ!盛り上がったよな。

勇太は負けた淳に声を掛けた。

 やっぱ飛び技がバシッとキマルとカッコいいな。

淳には勇太の笑い顔が気に入らない。


道場に由貴が現れた。
勇太は駆け寄るとさっき淳に話したことを、また楽し気に話した。淳は気にいらない。

 由貴先輩!もういっちょお願いします!

 なんだよ、いま終わったばっかりだろ?
 なに言ってんだよ。

由貴には、なんとなく察するものがあった。
舞台でのプロレスは八百長とまではいかないが、盛り上がるように飛び技を中心にするよう、企画の段階で、翔に言われていたからだ。


道場には三人。
勇太の見守る中で、二人の戦いは始まった。
遠くで、次ぎの演目の合唱部の歌声が聞こえてきた。
ポストもロープもないマットに立つのは由貴と淳だ。

さすが体操部の次期主将といわれる由貴の身体は引き締まっている。特に、大胸筋の発達は目を見張るものがある。孝司の筋肉はただデカク付けてるだけの印象だが、由貴のモノは毎日の体操部の演技をとおして自然に付いたものだけあって、グワッと迫力があるように感じられた。

淳が先に仕掛けた。
組み付くと脚をはらいにいく。このあたりは淳に分があった。なんどめかの攻撃で、由貴は膝を崩してマットに倒れた。

淳はグランドでの勝負を挑んでいるのだ。
まずは、由貴の左脚にアキレス腱固めを掛けた。

 ッラァぁ!!どうっスかあ?

由貴は痛みにこらえながら右脚で淳の背中にキックをぶち込んだ。

両者スタンディングポジション。
今度は由貴が仕掛けた。キックの連打だ。的確に淳の脚のモモ裏をねらいさだめた攻撃だった。

たまらず、淳はマットに転がった。由貴はジャンプしてガラ空きの淳のハラに膝を落とした。

 オレだってグランド好きなんだぜ。

由貴は淳の右腕を取ると、デカイ大胸筋で淳を押さえ込み、ストレートアームバーに固めた。ビーンと張り詰める前で淳は踏ん張る。極まればギブだ。

由貴は淳の防御が崩れないと分ると、立ち上がり、淳も立つように挑発した。

両者スタンディングポジション。
由貴はソバットを連発。たまらず淳はマットに沈む。

 オレのフィニッシュはサソリだ。

由貴は淳の両脚をサソリに固める。
淳はすでに戦意喪失状態だった。

 ヤバイ!キマルぞ!淳!!

勇太は注意をうながすが。

淳の両脚が由貴の前でクロスされている。

 サソリいれるぜ!!

由貴は胸を張り上げ、淳を逆立ちさせるほどに持ち上げた。淳はもうされるがままのグンニャリとした感じだった。

 ゥッッラァァアアアア!!!!

 ッッッガアッッはアアーーー!!!

サソリ固めが入った。
淳は今さらながらに痛みで目指めた。しかし、もう遅い。ロープであるマットのヘリを目指すがことごとく引き戻された。

その度に激痛は強まった。

 ユウタぁ!淳はギブするのかぁあ?

由貴は目の前に垂れた前髪を反動で戻しながら勇太を見た。その動きすら、淳には痛みに替わった。

 淳!ギブしろ!完璧だぜ!サソリ!

 ノウッ!!

淳はそれでもガンバロウとする。ロープを目指した。
由貴は執拗にサソリをほどこうとはしなかった。

由貴はサソリを掛けたまま立ち上がると、マット中央に淳を引き戻す。

 ウラアァァアア!!!

 ッッッグゥハアアァッァア!!!

 淳!ギブだろ?もう、納得したろっっ?

由貴はそのまま腰を少しあげると勇太を見た。ギブの合図がないことを知ると更に絞りあげる。
由貴の右腕でまとめてロックされた淳の両脚はアキレス腱固めの状態だ。強められた力が集中した。

由貴は腰を深く落とす。

 ッッッガアアアアアーーーーー!!!!!!
由貴の大胸筋がバーンと張る。

 ッッッアガぁアアアアア!!!!

由貴が天井を見上げるぐらいの勢いのあるサソリ固めだ。

 どうぅだあっ!ッァア!!ッァァアア??

 ップゥッゥッッ!!!

 ンッァァアアァアア??

 アアアッックウゥウ!!!
 ギブッス!!
 ギブアップッスッッゥゥスゥウウ!!!!!

由貴はサソリをほどくと、うつぶせに倒れる淳のケツをバン!と張った。

なんだか笑っていた。

 バチバチなプロレスオモシレーんだけどなあ!
 来年はこんなんで学祭やりましょうよ!

勇太は由貴にタオルを渡しながら言った。
孝司の学校も明日から2学期がはじまる。

レスリング部の格技場は熱気がこもっていた。

夕日が差し込む頃、センパイの号令で練習は終了。孝司もホッとする瞬間だ。

孝司はシャワー室に飛び込む。

 孝司! センパイがよんでるぜっ!

孝司は素直に格技場に戻った。

待っていたのは仁太郎センパイだった。

 センパイ、どうしたッスか?

 オウッ!悪いな
 プロレスやりてんだよ

鍛えたガタイが汗でテロテロに光っていた。
仁太郎は無口なセンパイだった。
話しをしたことだって、ほんの少しだ。

正直、孝司はひるんでいた。
勇太との勝負を見ていたせいもある。
勇太とのプロレスはまさにガチガチな感じだった。

 いいッスよ!相手してください!!

仁太郎は少しほほえんだように見えた。


二人はサークルの中央に立った。レスリングスタイルだ。仁太郎は二年生の赤。孝司は1年生の青だ。

孝司もデカイが、仁太郎は更に大きかった。すでに180はありそうだ。仁太郎は自分の胸を叩くように筋肉をほぐした。

 センパイの胸すげぇデカイっす!
 いいカラダしてるッスねー。

孝司はしみじみ言った。今まで、思っていても言えなかったことだった。

仁太郎はうすく笑いながら、孝司もスグにデカクなるさ!と言った。

 

プロレスはタックルからはじまった。
仁太郎のタックルは基本に忠実で、バランスのとれたものだった。

孝司は腰にまで手がまわらない。そのうちに軽々と持ち上げられた。そのままマットに打ち付けられた孝司はそれでも受け身を取っていた。

仁太郎は孝司の胸にエルボーを落とす。体重ののった重いものだった。すかさず、孝司の右腕を両脚で挟み込む仁太郎。腕ひしぎが極まるか?

孝司も両腕をクラッチして仁太郎の力をかわす。仁太郎はあわてずにキーロックの体勢に。

 ッッッー!!

孝司のチカラコブの間にはゴツイ仁太郎の腕が挟み込まれ、太く締まった、左脚が強力に締めていく。

仁太郎は何も言わなかった。
孝司の表情を見ながら、技をギリリ、ギリリを強めていった。

 クッッッゥウウ!!!

ギブしない孝司。
仁太郎は自らキーロックをはずす。
スタンディングからの再開である。

組み合いから、孝司は瞬間に仁太郎の左脚と右腕を絡み取っていく。得意技のコブラツイストだ。

 ギブっスかあ??

仁太郎は少し表情を曇らせただけだった。
孝司もだんだんとヒートアップ。先輩、後輩の関係が薄らいでいく。ギブアップさせたい願望が強まっていく。

左脚の固定はバッチリだった。首を極める孝司の両腕のクラッチも完璧だ。更にチカラを込める。

 ゥラアァ!!ギブっスかあァア!!!

仁太郎はクルリと孝司を腰で投げ飛ばした。
得意のコブラツイストがあまりにも簡単に返された孝司は少なからずショックだった。

孝司が立ち上がるところに、胸に強烈な痛みが走った。仁太郎のドロップキックだ。ゴロンとひっくり返る孝司。

次ぎの攻撃を恐れて、孝司はすかさず立ち上がると、仁太郎はファイティングポーズで挑発。

孝司は突っ込んで仁太郎をグランドに持ち込む。転がるように足4の字を極めた。

しかし、不完全に入ったままだ。
孝司は絞り込むことも出来ずに反転して返される。
仁太郎の攻撃が速くなった。

孝司の両脚をリバースインディアンデスロックに固めた。

 ッカァァアアアハァァアア!!!!
 
孝司のロックされた両脚のすきまにねじり込まれた仁太郎のふくらはぎは、ボコっと張っている。それだけでもキョーレツなのに、仁太郎は体重をのせてマットに受け身をとる。

 アッがアーーー!!!!

2度、3度と仁太郎の体重が孝司を痛めつける。
ギブ寸前の孝司だ。

ロックされたままの孝司の背後で、何も言わない仁太郎のうかがう気配が感じられた。更に、もう1発の衝撃!!!

 グゥッッウウッハッッ!!!!

スッと孝司の脚がほどけていった。
瞬間、孝司の両腕はブットイ仁太郎の太ももに固定され、あっという間にアゴも固められた。ヤバいと思った瞬間に上半身が反り返されていく!

キャメルクラッチだ!!

 ッハッグウッゥハアアァッッッ!!!!

仁太郎の両足の裏はペッタリとマットに据え付けられ、ビクともしないようだった。孝司のアゴを極める仁太郎の手は大きく、ググッと引き絞る。腰には仁太郎のケツがドッカリと打ち付けられたようだ。グイッと孝司は反っていく。

 ’’’’’’’’!!!!!

仁太郎はキャメルで極める気のようだった。
孝司もなんとか脱出を試みるのだが。
孝司に馬乗りになる仁太郎の呼吸が背後で聞こえる。
ギブアップしない孝司に仁太郎の攻撃は終わらない。
ギリイ、ギリイイと強烈な痛みが吹きあがる。

格技場のハロゲンランプが二人の汗みどろの姿を照らす。孝司の汗がタラタラと不自然に反りあがった胸をつたう。

チカラが一瞬弱まった。
仁太郎はアゴを極めていた持ち手を入れ替えた。
仁太郎は一気に引き絞る。
孝司のカラダがバリバリと音をたてるようだ。

 ッンンッツハアッッッアアアア!!!!

ヘソが見えるぐらいまでのキャメルクラッチ!!!!
孝司は右腕で仁太郎の太ももをタップ!!

 ギィイイブゥウッす!!!
 ンギィイブゥウアァァッップゥゥウ!!!
 ッスゥウ!!!

タップ!タップ!!タップっ!!!!



孝司はグッタリとマットに倒れたままだ。
仁太郎はかたわらにアグラをかく。つりパンのヒモをおろすとムネキンにはツブツブの汗水。

 マジで孝司とプロレスできてサイコー!
 
孝司はヨロヨロと立ち上がり、仁太郎に向き直る。
仁太郎にうながされ、孝司もマットにアグラをかく。

 ツエーっす!

仁太郎は笑う。

 今度はオレがセンパイからギブとりますから。

 オウ!!

仁太郎は孝司を立ち上がらせるとシャワー室に向かった。

 コブラは効いたな。

 マジっすかあ?

二人は笑ってシャワーを浴びた。
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